「あれ、俺が絵を描く意味ってあるのか?」という虚無感に襲われた時の対処法

絵を描いていると、ふとタイトルのような虚無感に襲われることがあります。今までそういう虚無感のせいで自暴自棄になり「もうやめちまおうかな…」と思ったことは数え切れないのですが、幸か不幸か、少しずつ考え方を変えることができたおかげで何とか立ち直ってきました。

そんな中で、そもそもなんでそんなにむなしくなるんだろう?ということを考えてみると、一口に虚無感といってもいくつか種類があることが分かりました。今回はそのそれぞれの原因についてと、そこからどう立ち直ったのかについてまとめておきます。

タイプ1:自己満足できない型

原因:趣味が自己顕示欲や承認欲求を満たす手段になってしまっている

趣味というのは自分で自分を満足させるためにあるものだと思うのですが、ちょっと間違えると他人に自分をアピールするための手段になりかねません。そしてそうなってしまうと、本来は

自分のためにやる→自分で満足する

という流れが

(認めてもらいたいから)人のためにやる→人に認めてもらう→自分が満足する

という回りくどいものになってしまいます。このとき価値の判断基準は赤の他人にあるので、もし人に認めてもらえなかったときは「ああ、俺が描いた絵には価値がないのか…つまんねーな…」となってしまうわけです。

対処法:「自分のために描いている」と考える

趣味というのは自己満足のためにやっても人に喜んでもらうためにやっても、最終的には自分が楽しむためにやっていることに変わりはありません(人のためにやる場合でも、人に喜んでもらえたら自分が楽しいからやる、という理屈なので)。だったら価値の判断基準を他人に譲ってしまうのはおかしな話です。だって自分で描いて楽しけりゃそれでいいわけですから。自己満足というとなんか嫌な感じがすると思いますが、上達とかそういうのが抜きでもやってて楽しいと思えるなら素直にそれでいいと思います(というか、まず楽しみ方が分からないと上達なんて無理だと思いますが)。

タイプ2:未熟な自分に絶望型

原因:自分より技術レベルの高い作品を見て打ちのめされた

ネットを見ても美術館に足を運んでも、ものすごい作品を生み出す人に出くわすことは少なくありません。そしてそういうのを見ると尊敬の念というよりは、むしろ自分の未熟さに打ちひしがれてしまうこともあります。そして「世の中にはこんなにすごい人がいたのか…なら俺が描いてる意味なくね?」と感じてしまうわけです。

対処法:作品の「良さ」の基準は一つではないことに注目する

見ていて「レベルが高い」と感じる作品とは、たいていの場合技術的な面(=構図、線の美しさ、塗りの的確さなど)で自分のものより優れているということだと思います。技術的な部分というのは優劣がはっきりしやすいので、そういう土俵で格上の相手と比較したら負けてしまうのは当然です。

しかし技術的には劣っていたとしても、他人とは違う自分なりの良さ(=生まれ育った背景の違い、物事の感じ方、表現の仕方…etc)というのがあると思います。そして創作活動の良いところは、そういう個人個人の違いを出せば「味のある」という意味でよい作品になるところにあります。そういうことも考えると、まず己の未熟さを自覚するのは大事ですが、単に未熟だからと落ち込まずに別の切り口から良い作品を目指すのもいいんじゃないかと思います。

タイプ3:趣味のルーチンワーク化型

原因:本来の目的を見失った状態で目標をこなそうとしている

趣味でやっていても上達したいと思っている人なら、「一日何枚描く」とか目標を設定することが多いと思います。それ自体は別に悪くないのですが、ちょっと間違えると「目標を達成しなければならない」という半ば義務感のようなものを感じながらやる羽目になってしまいかねません。

例えば「絵が上達すると楽しい。楽しみたいので上達を目指して描いている」という場合を考えると、本来なら

更に上達して楽しみたい→上達のために目標を決めよう→目標を達成できるように頑張ろう

という流れだったはずが、上手くなることを意識しすぎると

上手くならなければならない→そのためには高い目標を設定しなければならない→目標を達成するために努力しなければならない

という義務感バリバリのルーチンワークになってしまっています。これだと「楽しむためにやる」という本来の目的が分からないままやることになるので、結果として「そういえば、こんなことして何の役に立つんだろうな…?」となってしまうのです。

対処法:「描く気がないなら描かない」という選択肢もある

趣味のメリットの一つはやってもやらなくてもいいことなので、変な義務感を感じてしまうようならそれは不自然な状況です。そういうときは本来の目的を見失っていないかをチェックしてみるといいですし、気が向かなければそれを素直に受け入れてやらないのも一つの手です。自分で決めた目標を達成するのはモチベーション維持に役立ちますが、それに縛られてしまうと逆効果なのでほどほどに考えておくのが適切でしょう。

…ついでに言っておくと、本当に絵を描くのが好きなら目標とか設定するまでもなく息をするように描いていると思うので、そうでなければ自分で思っているほど好きじゃないのかも、ということを自覚しておくのも大切です。